野球時代到来の予感!
2024年08月09日
今西編集長
NPBの2024年シーズンは稀に見る投高打低だ。
8月9日時点で3割打者が両リーグで1人ずつしかいないかわりに、投手10傑に防御率1点台が8人もいる(セ7、パ1)。
やれ、飛ばないボールだ、ストライクゾーンがなどという声も聞こえてくるけれど、レトロスペクティブな我々は躊躇うことなく過去に目を向ける。
たしか長嶋茂雄が新人の年って、惜しくも三冠を逃したけど、その時も打率10傑は低打率だったような……。
1958年(昭和33)、セの首位打者は田宮謙次郎.320、2位長嶋.305、あとはみんな2割台。その反面、投手陣は1点台が5人いた。ほらやっぱり。パは.314の中西太を筆頭に.306毒島章一、.305葛城隆雄、.301小玉明利と続く。防御率は1点台が3人。これもなんだか近しいぞ。
ということは、今年の我々が観ているプロ野球のスケール感は63年前のそれとほぼ変わらないと言えるのではないかしらん。球場や選手の体格に大きな違いはあろうけど、そのときは観客の背丈も小さかったし体感としては同じなのではないか。
モノクロ写真でしか見られなかった時代の野球に少しのリアリティを得た感じ。
もちろん、明らかに違うモノはたくさんある。1試合の投手の数とか、球場演出とか応援団の有無とか、なにより客入りがケタ違いだ。
でもそれもこれも、過去を紐解いてはじめてわかることだ。大谷翔平の凄さを計るには、90年前のベーブ・ルースにお出まし願うしかないのがなによりの証左だろう。
すなわちレトロスペクティブってのは、単なる「振り返り」でも昔を懐かしむだけのものではなくて、過去を探ることで新しい知見を得るということなのだろう。
まさに「温故知新」そのものだ。やっぱり古典は偉大なのだ。